
外国人採用を検討している企業の方から、よく聞かれるのが
「特定技能1号と2号って、結局どう違うのですか?」
という質問です。
結論からいうと、1号は“受入れの基本ルート”で、支援義務や在留期間の上限がある類型、2号は“より熟練した人材向け”で、在留期間の通算上限がなく、家族帯同も可能な類型です。制度の骨格がかなり違うので、ここを曖昧にしたまま採用を進めると、後で「思っていたのと違う」が起きやすいです。
しかも、特定技能制度は近年かなり動いています。出入国在留管理庁の制度ページは2026年3月24日に更新され、2026年1月23日には新しい分野別運用方針が閣議決定されました。現在の分野別運用方針では19分野が列挙されており、一部は省令等の準備が整い次第受入れ可能とされています。制度の全体像が広がっている分、企業側の理解のズレも起きやすくなっています。
まず結論:1号と2号の違いはここです
特定技能1号は、「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務」に従事するための在留資格です。一方、特定技能2号は、「熟練した技能を要する業務」に従事するための在留資格です。2号では、当該技能水準を満たしているかどうかを試験と実務経験で確認するとされています。
在留期間にも大きな差があります。1号は1年、6か月又は4か月ごとの更新で、通算在留期間は原則5年以内です。これに対して2号は3年、1年又は6か月ごとの更新で、通算在留期間に上限はありません。
家族帯同と支援義務も重要な違いです。1号は家族帯同が基本的に認められず、受入れ機関または登録支援機関による支援の対象です。2号は要件を満たせば配偶者・子の帯同が可能で、支援の対象外です。ここは企業実務にかなり効いてくる差です。
特定技能1号とは何か
特定技能1号は、企業が外国人材を受け入れるときの、いわば実務の中心になる類型です。ただし「雇えば終わり」ではありません。1号特定技能外国人を受け入れる企業は、1号特定技能外国人支援計画を作成し、在留申請時に提出し、変更があれば届出を行う必要があります。また、支援は自社で行うことも、登録支援機関に委託することもできます。
しかも、1号の支援は軽いおまけではありません。入管庁の案内では、1号特定技能外国人支援計画には義務的支援10項目があり、事前ガイダンス、住居確保支援、生活オリエンテーション、相談対応、転職支援などが含まれます。つまり、1号を受け入れる企業は、採用だけでなく生活面まで含めた受入れ体制を考える必要があります。
さらに大事なのは費用負担です。入管庁Q&Aでは、法務省令に規定される義務的支援に要する費用は受入れ機関が負担しなければならず、本人に負担させることは認められないとされています。ここを誤ると、制度理解のズレどころか、実務事故になります。地味ですが、かなり大事です。
特定技能2号とは何か
特定技能2号は、1号より一段上の熟練人材向けの在留資格です。入管庁は、2号で求められる「熟練した技能」について、自らの判断で高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、または監督者として業務を統括しつつ熟練した技能で業務を遂行できる水準と説明しています。そして、その水準は試験と実務経験で確認するとされています。
また、2号は通算在留期間に上限がなく、要件を満たせば家族帯同も可能です。もっとも、これは**「永住と同じ」という意味ではありません。2号はあくまで3年・1年・6か月ごとの更新がある在留資格**なので、永住許可とは別物です。この点は、企業側も本人側も混同しやすいところです。
企業が誤解しやすいポイント
1. 登録支援機関に委託すれば、会社は何もしなくていい
これはよくある誤解です。
たしかに1号の支援は登録支援機関に委託できますが、そもそも企業は支援計画を作成し、在留申請時に提出し、変更時には届出も必要です。つまり、委託はできますが、会社の実務がゼロになるわけではありません。
2. 支援費用を本人に一部負担させてもよい
これも危ない誤解です。
入管庁Q&Aでは、義務的支援に要する費用は受入れ機関が負担し、本人に負担させることは認められないと明示されています。通訳費用や送迎費用なども、支援に必要であれば企業負担が前提です。
3. 1号で数年働けば、自動的に2号へ上がれる
自動昇格ではありません。
2号は、1号より高い熟練水準が求められ、試験と実務経験でその水準を確認する仕組みです。したがって、ただ在籍年数を重ねれば良いという話ではなく、分野ごとの基準を満たせるかがポイントになります。
4. 2号なら永住と同じ
これも違います。
2号は通算在留期間の上限こそありませんが、在留資格として更新が必要です。つまり、長く在留できる制度ではあるものの、法的には永住許可とは別制度です。ここを混ぜると、本人説明でズレます。
5. 特定技能はどの分野でも同じ運用
実務では、ここもズレやすいです。
2026年1月23日の分野別運用方針では19分野が列挙され、一部は省令等の準備後に受入れ可能とされています。また、2号の技能水準や必要な実務経験は分野別運用方針・分野別運用要領で確認する仕組みです。つまり、分野ごとの差を無視して一律に考えるのは危険です。
企業実務では、ここを先に確認すると失敗しにくいです
企業としては、まず**「今回の採用は1号なのか、将来的に2号まで見据えるのか」**を入口で決めるのが大切です。1号であれば、支援体制・予算・委託先・社内担当者を先に固める必要がありますし、2号候補として考えるなら、分野ごとの試験や実務経験の要件を早めに確認しておく必要があります。
また、制度全体も更新が続いています。特定技能制度のトップページでは、2026年3月24日に運用要領等が更新されており、2026年1月23日の分野別運用方針も反映されています。ホームページ記事として公開する場合でも、掲載後に制度改正や運用変更がないか定期的に見直す運用にしておくと安心です。
まとめ
特定技能1号と2号の違いを一言でいえば、
1号は「支援付き・原則5年までの基本ルート」、
2号は「より熟練した人材向け・通算上限なしの長期就労ルート」
という整理がわかりやすいです。
そして企業が特に注意したいのは、
「1号は支援計画と費用負担が重い」
「2号は自動移行ではなく、別の技能水準確認が必要」
という2点です。ここを押さえておくと、採用段階のミスマッチがかなり減ります。