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お知らせ

2023年12月23日

特定技能 農業

① 在留在格「特定技能」

特定技能外国人を受け入れる在留資格には、「特定技能 1 号」と「特定技能 2 号」がありますが、農業は特定技能 1 号のみとなっています(令和 4 年 12 月時点)。特定技能 1 号は、相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。
特定技能 1 号の在留期間は、1 年、6 か月又は 4 か月が付与されます。

 

② 特定技能 1 号のポイント

特定技能 1 号では、在留期間は通算 5 年までで、配偶者や子などの家族帯同は基本的に認められていません。また、1 号特定技能外国人は、所属機関又は登録支援機関による支援の対象となります。農業分野の特定技能外国人の技能水準や日本語能力は試験等で確認しますが、技能実習 2 号を良好に修了した外国人は、試験等の合格による技能水準及び日本語能力の立証が免除されます
(技能実習 3 号修了者も同様)。

③特定技能外国人に関する基準

特定技能外国人が満たすべき基準には、18 歳以上で健康であり、退去強制令書の円滑な執行に協力する外国政府が発行する旅券を所持していること、名目を問わず保証金等を支払っていないこと、母国の機関への費用支払いについてその額や内訳を理解して支払っていること、日本の
所属機関への費用や居住費の支払いについてその内容を理解して合意した額が適正であること、
各分野特有の基準に適合していることがあります。また、特定技能 1 号には、必要な技能水準及び日本語能力を有していること、又は技能実習 2
号を良好に修了していること、そして特定技能 1 号での在留期間が通算して 5 年を超えていないことなどがあります。

④ 所属機関に関する基準

特定技能雇用契約が満たすべき基準としては、分野省令で定める技能を必要とする業務に従事させること、所定労働時間が通常の労働者と同等であることや報酬額が日本人が従事する場合と同等以上であること、外国人であることを理由に差別的な扱いをしていないこと、一時帰国を希
望の場合は休暇を取得させること、帰国旅費を負担できない場合は所属機関が負担すること、労働者派遣の場合は派遣先や派遣期間が定められていること、所属機関が外国人の健康状況や生活状況を適切に把握していること、分野特有の基準に適合していることです。

所属機関自体が満たすべき基準として、労働保険や社会保険及び租税に関する法令遵守、1 年以内に非自発的に労働者を離職させてないことや行方不明者を発生させていないこと、5 年以内に欠格事由に該当していないこと、特定技能外国人の活動記録等を 1 年以上備えておくこと、保証金の徴収等をされていることを認識して雇用契約を締結していないことや違約金契約を締結していないこと、支援に関する費用を外国人に負担させていないこと、労働者派遣の場合は派遣元が当該分野に係る業務を行うなど適当と認められる者であるほか、派遣先も一定の基準に適合すること、労災保険関係の成立や履行体制が適切に整備されていること、報酬を預貯金口座への振込等により支払うこと、分野特有の基準に適合することです。

所属機関が満たすべき支援体制は、過去 2 年間に中長期在留者の受入れと管理を適切に行い、かつ、事業所ごとに支援責任者や支援担当者を選任(要件を満たせば兼任も可)していること、過去 2 年間に中長期在留者の相談対応した役職員の中から支援責任者及び支援担当者を選任していること、外国人が十分理解できる言語で支援を実施できる体制を有していること、支援責任者や支援担当者が支援計画の中立な実施や定期的な面談を行うことができること、支援状況に係る文書を 1 年以上備えおくこと、分野特有の基準に適合していることです。

支援計画が満たすべき基準としては、義務的支援事項として定められている 10 項目(事前ガイダンス、出入国する際の送迎、住居確保・生活に必要な契約支援、ルールやマナーなどの生活オリエンテーション、公的手続等への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、転職支援(人員整理等の場合)、定期的な面談・行政機関等への通報)を支援計画に記載すること、登録支援機関に支援を全部委託する場合はその委託契約の内容等、支援責任者及び支援担当者の名前や役職、分野に特有の事項を記載しなければなりません。支援計画は、日本語と外国人が十分理解できる言語で作成して外国人にその写しを交付すること、支援内容は外国人の適正な在留に資するものであり適切に実施できるものであること、入国前の情報提供は対面又はテレビ電話装置等により実施すること、情報提供や相談・苦情対応等は外国人が十分理解できる言語で実施されること、分野特有の基準に適合することが必要です。

1 号特定技能外国人に対しては、支援計画の作成とその履行が必要です。支援計画の作成とその履行は、本来は所属機関に求められるものですが、支援計画の実施を登録支援機関に全部委託すれば、その所属機関は支援体制ありと認められます。

 

⑤登録支援機関とは

登録支援機関とは、特定技能外国人の所属機関から委託を受けて、1 号特定技能外国人への支援計画を実施する者を言います。登録支援機関は、一定の登録要件を満たし、出入国在留管理庁から登録を認められた者となっており、登録は 5 年間有効となっています。登録支援機関の登録拒否事由に該当しなければ、法人のみならず個人であっても、支援機関として登録が認められます。
具体的には、行政書士等が登録されており、農業分野では技能実習の監理団体となっている農協や、地域の農業団体等が登録されています。なお、登録支援機関は、支援計画の実施について、複数の所属機関との契約はできますが、他の登録支援機関への再委託はできません。
以下に該当する支援活動には従事できません。
(ア)所属機関の配偶者、2 親等内の親族など、社会生活において密接な関係を有する者が支
援責任者となろうとする場合
(イ)過去 5 年間に所属機関の役員や職員であった者が支援責任者となろうとする場合

 

⑥第 2 号、第 3 号技能実習修了者から特定技能へ移行する場合

外国人の日本語能力や農業分野の技能水準は、基本的に試験で確認しますが、技能実習 2 号を良好に修了した者や、技能実習 3 号を修了している者は、農業技能測定試験・日本語能力試験の合格が不要となり、在留資格「特定技能」に係る各種申請手続を行うことができます。
具体的には、技能実習を 2 年 10 か月以上修了し、かつ、①農業技能実習評価試験(実技)の専門級以上の合格証を取得できること、又は②技能実習を行っていた実習実施者が当該外国人の出勤状況や技能等の修得状況・生活態度等を記載した評価調書(不可の場合は理由書等)を提出することにより、特定技能外国人になろうとする者が技能実習 2 号以上を良好に修了したと認められる必要があります。
農業以外の職種で技能実習 2 号を良好に修了した者又は技能実習 3 号を修了した外国人が、農業の特定技能で従事するためには、農業技能測定試験に合格することが必要です。ただし、従前の技能実習の職種・作業を問わず、技能実習 2 号を良好に修了又は技能実習 3 号を修了して
いれば、日本語能力試験の合格は免除となります。
技能実習 2 号や 3 号の修了予定者が特定技能 1 号に移行する場合には、技能実習生としての在留資格の満了日の 2 か月前になったら、最寄りの地方出入国在留管理局に対し、在留資格変更許可申請をする必要があります。なお、技能実習 2 号から特定技能 1 号に在留資格を変更するときは、一時帰国することは要件となっていません。

一方、技能実習は技能実習計画に基づき技能等を習熟するための活動であり、実習活動を修了していない者については、技能実習計画の途中で在留資格を変更することは認められていません。

⑦外国人材はどんな作業に従事できるか

農業分野の特定技能外国人は、主として、①耕種農業全般の作業(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)や、②畜産農業全般の作業(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)に、従事することが必要です。
ただし、その業務内容には、栽培管理又は飼養管理の業務が必ず含まれていることが必要であり、例えば、選別業務等にのみ専ら従事させることはできません。

⑧所属機関として 6 か月以上の雇用経験が必要とは

所属機関には、雇用する外国人に対して適切な労務管理と適正な受入れを図るため、同一の労働者を 6 か月以上継続して雇用した経験(法人の場合、業務を執行する役員が個人事業主として雇用した経験も含まれます。)又はこれに準ずる経験が求められます。これに準ずる経験とは、6 か月以上継続して労務管理に関する業務に従事した経験をいい、労働関係法令を遵守し、労働者の賃金や労働時間の計算などの労働条件に関する業務や社会保険などの福利厚生に関する業務などに広く従事した経験を指します。
また、派遣先として労働者を受け入れる場合には、同一の労働者を 6 か月以上継続して雇用した経験か、派遣先責任者講習を受講した者を派遣先責任者として選任していることが求められます。なお、この労働者には、技能実習生も含まれます。
ただし、短期のアルバイト等の者の雇用期間が累積して 6 か月を超えても、同一の労働者を6か月以上継続した経験を満たしたものとは認められません。また、所属機関が雇用契約の締結日前の 1 年以内又は締結日以降に、所属機関の責めに帰すべき理由により外国人の行方不明者を発生させていないことが定められています。ただし、所属機関側に非がない場合は、当規定には該当しません。

⑨受け入れる前に準備しておくこと

① 必要な準備
①特定技能外国人の宿舎の準備や生活備品(家電や寝具など)の用意、②事務処理ができる支援責任者(担当者)の確保、③通訳(登録支援機関でも可)の確保、④病院や公的な窓口の確認、⑤事前ガイダンスの準備、⑥雇用契約の締結準備、⑦入国申請書類や添付書類などの準備をしておくことが必要です。
② 特に住居の準備
特定技能外国人に住んでもらう住居は、居室で 7.5m2/ 人以上であることが求められています。その上で、プライバシーの確保、Wi-Fi 環境の整備、職場との距離やコンビニなどの利便性の確保、宿舎を新築した、などの受入れ事例があります。これらの点に関し、特定技能外国人に対して事前に説明し、特定技能外国人も納得している事例がほとんどです。

⑩業特定技能協議会への加入

農業者は、最初に特定技能外国人を受け入れた日から 4 か月以内に、農林水産省ホームページの加入申請フォームから申請し、「加入通知書」を受領することにより、本協議会に加入したことなります。

⑪受入れ後の申請や届出

入国後、所属機関は遅滞なく各種支援を実施するとともに、受入れ後は地方出入国在留管理局に対して、支援計画の実施状況等の随時・定期的な届出が義務付けられています。所属機関となった場合には、①特定技能雇用契約を変更、終了、新たに締結した場合の届出、② 1 号特定技能外国人支援計画を変更した場合の届出、③支援の委託契約を締結、変更、終了した場合の届出、④受入れが困難となった場合の届出、⑤出入国又は労働に関する法令に関し不正行為等を行った場合の届出、⑥特定技能外国人の受入れに係る届出、⑦支援の実施状況に係る届出、⑧特定技能外国人の活動状況に係る届出が必要です。
登録支援機関となった場合には、①登録事項に変更が生じた場合の届出、②支援業務の休廃止に係る届出、③支援の実施状況に係る届出が必要です。届出はその要件により、随時にまた定期に地方出入国在留管理局へ届け出る必要があります。違反した場合は、指導・罰則や登録の取り消しなどの対象となります

⑫雇用後に作成が必要な書類

労働者名簿・・・ 氏名、生年月日、履歴、性別、住所、従事する業務、雇い入れ年月日、退職の年月日とその理由(死亡の場合はその年月日と原因) 3年間
賃金台帳 ・・・氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間、時間外・休日・深夜労働の時間、基本・手当・その他種類ごとの金額、賃金の一部を控除した場合はその金額 3年間
出勤簿・・・(タイムカード) 従業員ごとの始業と終業の時刻 3年間
健康診断個人票・・・ 医療機関から提出される診断結果 5年間
※労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)の保存期間は5年ですが、当分の間 は、経過措置として3年間となっています。

⑬賃金支払いの注意点

支給する賃金額は都道府県ごとに定められた最低賃金(時給額)を下回ることはできません。

(最低賃金の計算方法)
 最低賃金の対象となる賃金には割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当、賞与を含みません。
<月給>
月額賃金÷ 1 か月の所定労働時間 = 時給額 ←最低賃金と比較する金額
<日給>
日額賃金÷ 1 日の所定労働時間  = 時給額 ←最低賃金と比較する金額
最低賃金は通常毎年 10 月頃に改定され、基本金額が上昇するため注意が必要です。
このほか、賃金支払の 5 原則が定められています。
賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③その全額を、④毎月 1 回以上、⑤一定の期日を定めて、支払わなければなりません。
※③に全額とありますが、法律に基づく税金(所得税、住民税)や保険料は控除しなければなりません。
誤解が多い点ですが、農業においても働かせた時間分の賃金の支払いは必要です。農業においても深夜労働(午後 10 時~午前 5 時)をさせた場合は時給額に加え、深夜割増として 2 割 5分増しの賃金を支払わなければなりません。

[農業における残業代の考え方]
時給 1,000 円、所定労働時間 7 時~ 16 時(休憩 1 時間の 8 時間勤務)
◆ケースA 19 時まで働いた(休憩 1 時間)
1,000円×8時間=8,000円 1,000 円×3時間=3,000 円
7 時 16 時 19 時・・・合計 11,000 円(11 時間勤務)
◆ケースB 23 時まで働いた(休憩 1 時間)
1,000円×8時間=8,000円 1,000 円×6時間=6,000円
7 時 16 時 22 時 23 時1,250円×1時間=1,250円・・・合計 15,250 円(15 時間勤務)

※誤解が多い 労働基準法の農業の適用除外とは
農業は、天候等の自然条件に労働が左右されるため、労働基準法第 41 条により、労働時間・休憩・休日に関する規定が適用除外となっています。ただし、これは従業員を何時間でも働かせてよいということではありませんし、労働契約時に働く時間や休日を明示しなくてもよいということではありません。残業をさせた場合はその時間分の賃金を支払うことが必要です。

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