
「前回通ったから今回も大丈夫」
「会社に勤めているから問題ない」
「必要書類を出せば許可されるはず」
こう考えている方は少なくありません。
ですが、ビザ更新(在留期間更新許可申請)は、単なる延長手続ではありません。
出入国在留管理庁でも、在留期間更新許可申請は、現在の在留資格を変更せずに、付与された在留期間を超えて引き続き日本に在留するための正式な申請と案内しています。さらに、更新が認められるのは、「在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由」がある場合に限るとされています。
つまり、
「今もその在留資格で日本にいることが適切か」
を改めて見直される手続だということです。
ここを軽く考えると、思わぬ形で不許可になることがあります。
ビザ更新が不許可になる主な理由
入管の審査は、1つの項目だけで決まるわけではありません。
出入国在留管理庁のガイドラインでは、在留資格への該当性、活動実態、素行、生計、納税、届出義務の履行状況などを総合的に判断する考え方が示されています。
1. 在留資格に合った活動をしていない
もっとも基本で、もっとも重要なのがここです。
たとえば、
「技術・人文知識・国際業務」のビザを持っていても、実際の仕事内容がその資格に該当しない場合、更新は厳しくなります。
肩書きが立派でも、実際の業務内容がズレていれば不利です。
入管は、申請書の言葉だけではなく、
現にどのような活動をしているか
を見ています。ガイドラインでも、申請人が現に有している在留資格に応じた活動を行っていることが考慮されるとされています。
2. 素行に問題がある
更新審査では、素行が不良でないことも重要です。
刑事処分歴がある場合はもちろん、不法就労助長や法令違反があると、不許可リスクが高くなります。
実際に公表されている不許可事例でも、
罰金刑や有罪判決を受けたケースで更新が認められなかった事例があります。
「少し前のことだから大丈夫」と思っても、
入管は意外と忘れてくれません。
そこは人間関係よりずっとシビアです。
3. 収入や生活基盤が不安定
ビザ更新では、今後も安定して日本で生活していけるかも見られます。
ガイドラインでも、独立の生計を営むに足りる資産または技能を有することが考慮要素とされています。
たとえば、次のような事情は注意が必要です。
-
収入が極端に低い
-
雇用が不安定
-
会社の実態が不透明
-
経営状況が悪化している
-
扶養関係の説明が弱い
特に就労ビザでは、
申請人本人だけでなく、勤務先の安定性や実在性も見られます。
4. 税金や社会保険の未納がある
近年、ここはかなり重視されています。
出入国在留管理庁のガイドラインでは、納税義務を履行していることが必要であり、高額または長期間の未納がある場合は消極的に評価されるとされています。国民健康保険料なども同様です。
つまり、
-
住民税を払っていない
-
国民健康保険料を滞納している
-
年金関係の整理が不十分
こうした状態は、更新審査で大きなマイナスになります。
「あとで払う予定でした」は、日常会話なら通っても、
入管ではあまりロマンがありません。
5. 届出義務を守っていない
中長期在留者には、住居地や所属機関などについて届出義務があります。
ガイドラインでも、在留カードの記載事項や所属機関に関する届出義務を履行していることが必要とされています。
よくあるのは、こんなケースです。
-
引っ越したのに住居地変更届を出していない
-
転職したのに所属機関の届出をしていない
-
実際の居住地と届出住所が違う
公表されている不許可事例でも、住居地の届出内容と実態が一致しておらず、虚偽申請が判明したことで不許可となった例があります。
実務上よくある「不許可の火種」
ここからは、現場感のある話です。
不許可は、いきなり爆発するというより、小さな火種が積み重なって起きることが多いです。
転職後の仕事内容が変わっている
転職自体が問題なのではありません。
ただし、転職後の業務内容が現在の在留資格と合っていないと危険です。
留学生なのに出席率や活動実態が弱い
留学ビザでは、出席率、成績、学習継続の合理性が重要です。
勉強している前提が弱いと、更新は厳しくなります。
離婚や退職など、前提事情が変わっている
配偶者ビザや就労ビザでは、前提が変われば当然審査の見方も変わります。
前提が変わったのに、申請だけ前と同じだと危ないです。
書類同士にズレがある
住所、勤務先、職務内容、年収などに食い違いがあると、入管は一気に慎重になります。
書類の中で話が合っていないと、かなり不利です。
不許可になったらどうするべきか
ビザ更新が不許可になった場合、まず大事なのは、
なぜ不許可になったのかを整理することです。
原因が、
-
在留資格該当性の問題なのか
-
納税や保険料の問題なのか
-
届出漏れの問題なのか
-
活動実態や素行の問題なのか
によって、対応はまったく変わります。
出入国在留管理庁も、更新許可の判断は在留状況、在留の必要性、相当性等を総合的に勘案して行うと説明しています。
つまり、不許可の原因も1つとは限りません。
ここを間違えると、再申請やその後の対応もズレてしまいます。
行政書士に相談するメリット
ビザ更新の不許可が怖いのは、
本人は普通だと思っていたことが、入管では不利に見えることがある点です。
行政書士に相談することで、次のような整理がしやすくなります。
-
現在の活動内容が在留資格に合っているか
-
納税・社会保険・年金の状況に問題がないか
-
転職、離婚、退職、事業不振などの事情をどう説明するか
-
理由書や補足資料をどう組み立てるか
-
不許可リスクをどう減らすか
特に、
「まだ不許可ではないけれど、通るか不安」
という段階で相談するのがいちばん効果的です。
転ばぬ先の杖は、入管手続ではかなり優秀です。
まとめ
ビザ更新が不許可になる理由は、単純ではありません。
入管は、在留資格との整合性、実際の活動内容、素行、生活の安定、納税・保険料の履行、届出義務の順守などを総合的に見て判断しています。
また、出入国在留管理庁は実際の不許可事例も公表しており、刑事処分、虚偽申請、活動実態の不合理、届出義務違反などが更新不許可につながり得ることが示されています。
「前回通ったから今回も大丈夫」
この油断が、いちばん危険です。
ビザ更新に不安がある方、
転職、離婚、税金未納、保険料滞納、届出漏れなど気になる事情がある方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。